■ 第一回・由布市全国神楽大会 レポ ■




4/26、大分・由布市庄内町にて、第一回・由布市全国神楽大会が開催されました!






由布市ってどこ? というと、温泉郷・湯布院が有名な大分の山奥です。庄内町はお神楽が盛んな地域で、奥深い田舎(…と言うと言いすぎか…)だけど、自然豊かでのどかな素敵なところです。

私、今は関西に住んでいるのですが、子供の頃大分に住んでおりまして、神社のお祭などでお神楽は馴染みの存在でした。しかし子供だったので、もったいないことに当時はまだよくわかっていませんでした…。高校生の頃だったかな、久しぶりに田舎の庄内町の夏祭りでお神楽を観た時に、やっと、その魅力に気付き、圧倒されたのですが、しかし、ままならぬことにその時すでに親の転勤で大分を離れており、なかなか神楽に触れる機会がないまま××年…。そんな折、今回、大きな大会があるということで、里帰り気分で何の気なしに行ってみたら……お神楽最高―――!! あらためて、神楽の魅力にどっぷりはまってしまいました!



…というわけで、第一回・由布市全国神楽大会レポ!!


 


看板には、「朝から晩まで神楽!!」

朝8:00に開始して夜10:00に終了(予定)という、神楽三昧祭!!
ちなみに私は翌日仕事のため3時には退場、帰宅しなければならず…無念…!


朝8:00開始ということで、早朝ながら7:30に出発! すがすがしい朝です…! 田園風景に気分リフレッシュ! こういう現地の空気っていいですね…! 遠方に住む身としては、県外に遠征公演とか、TV出演とかしてほしいところだけど、この地でやるからこその雰囲気、空気…。ここまで来なきゃ味わえないものって大事ですね。






時刻は朝8:00、早朝にもかかわらず会場の神楽殿には既にたくさんの観客が!






りっぱな神楽殿に、広い会場! まさに神楽を楽しむために最適な環境が整えられていて素晴らしいです…! ブルーシートが敷いてあって、靴を脱いで上がって、直に座ります。ちなみにこの日は、前日の雨で地面が湿り、曇り空と強風のため、まさかの4月下旬とは思えぬ寒さ…!

地元のみなさまがたは慣れたもので、ござを敷いたり、座布団、毛布を敷いたり。折りたたみ式のちゃぶ台やクーラーボックスを持ち込んで、我が家のようなくつろぎっぷりのご家族も。このアバウトさ、ユルさも庶民の楽しみ・神楽のよさですね(笑) 食べ物の屋台がいっぱい出てて、大きなお盆にうどんを何人分も載せて席へ運ぶお父さんも。

ただ、上演中、席を立つ人が多くて、たびたび視界がさえぎられるのはツライところ……。それも仕方がないんですけど……なにせ、14時間の上演中、トイレ休憩とか休み時間が全くなく、絶え間なく神楽なもので……。「出来るだけ見逃したくない! あますところ観たい…!」と思ったら、尿意や空腹・寒さ・足のしびれとの過酷な戦い…! の、望むところだ!



 


「五方礼始」 ごほうれいし (竹の中神楽座・由布市庄内町)


いよいよはじまり!! 五方を清める五方礼始からはじまって、地元由布市の神楽座をはじめ、島根・広島・福岡・熊本・大分の各地から招かれた約20の神楽座が演目を披露してくれます!






陰の主役(?)、神楽囃子のみなさんがまたかっこいい…! あんな風に演奏できたら気持ちいいだろうなぁ…。庄内神楽は囃子のテンポが早いのが特徴だそうで、そのため大太鼓のバチが短いんだそうです。激しいバチさばきがかっこいい…! 途中でバチを宙に投げ、キャッチするというアクロバティックな技も披露してくれたり…すごい!



 


「鹿児弓」 かごゆみ (大龍神楽座・由布市庄内町)


弓矢や剣を振りかざし、囃子に合わせて緩急のある流れるような舞がかっこいい…!







「五穀舞」 ごこくまい (阿蘇野神楽座・由布市庄内町)


保食神の死体から穀物とか家畜が生まれて、高天原に持ち帰る…という舞。

保食神を殺したのはツクヨミだったり、スサノオだったり二通り聞くけど、 これはどっちなんだろう?


剣を振り回し、体全体で大きく舞うツクヨミ(?)がかっこいい!

大きくて重そうなお面と、かさばってしょうがなさそうな衣装を身にまとって

あんなに足を大きく上げてダイナミックに踊る迫力ったらすごい!





お餅? お菓子? 客席にサービスしてくれます





神主風のもたっとした服装の舞い手(高天原の神々?)も、激しく舞い踊る!

…着くずれたりとかしないんだろうか…(余計な心配)


神主さんっていうと普通こう、しずしずと慎み深く、格調高いイメージですが、こちらは

惜しげもなく全身で喜びを表現するかのように舞い踊り、親しみが沸いて仕方ないです…!



ところで、私もついこないだまで知らなかったのですが、一口に神楽と言っても、今回の大会のような娯楽性重視のものから、儀式性重視のものまで、いろいろ種類があるみたいですね。今回の大会で披露された神楽はみな、ストーリーがあって娯楽性に富んだ、民衆に愛されてきた神楽という感じです。

…というのも、以前、関西の某神社でお祭りがあって見に行った時に、お神楽があるというので、楽しみに待ち受けていたら…大分で見慣れていたような、ストーリーがあって、ヒーロー的神々が大暴れ…というようなお神楽ではなくて、巫女さんがしずしずと静かに舞うお神楽で、「あれ?」ってなったことがありまして(無知) あ、いや、もちろん巫女舞も巫女舞としての味わいがあって素敵なんですが、同じお神楽でも全然別物だなぁと、カルチャーショックな出来事でした。

今回最も多くの神楽座が参加している地元の庄内神楽は囃子のテンポが速く、勇壮な舞が特徴だそうです。そうか…確かに、能や舞楽などに代表されるような、日本の伝統舞踊独特の、悠久の時と幽玄を醸し出すようなスローテンポな舞とは全然違う。扇や剣や弓矢をふりかざし、キレのある動きで舞台狭しと舞い踊る!! わりと軽装で、身軽に飛び回り、生身の人間の躍動感が感じられるのがまたいいと思う…! 関西の神社仏閣などなどで観てきた舞は、前述のスローテンポなものが多かったように思います。文化の違いですね…。しばらく大分を離れていたおかげで改めて気付けた、大分のお神楽の良さかも。

あと、みんなプロじゃなくて(たぶん)、普段は普通の仕事をしながらとか学校に通いながらとか、夜とか休日に練習して、特別な日に神楽を舞う…っていう、いい意味での素人くささというか、草の根の感じというか…なんか…こう…いい!!(うまく言えない)



次のページへ