道の駅波野「神楽苑」&御嶽流夜神楽 レポ



2010年10月30日、熊本県阿蘇市波野の道の駅波野「神楽苑」にぶらりお散歩と、

大分県豊後大野市清川の能場公園にて、御嶽流夜神楽を観てきました





秋祭りシーズン、今まさにクライマックス!! というわけで、週末にもなると、あちこちで 数多くの神楽が舞われ、どれに行けばいいやら、選べない…!! という、幸せすぎる悩みに 嬉しい悲鳴連発!! そんなシーズン…だったはずなのですが……まさかのこの時期に台風襲来!!??

悲しいことに中止になる神楽もある中、御嶽神楽の年一回の大イベント、御嶽流夜神楽は、 台風の進路が微妙に逸れたおかげで、なんとか開催されることに! よかった…!!



 


朝一の飛行機で大阪から大分へ。心配された台風の影響もなく無事飛んでよかった…





ただ今、大分空港では、庄内神楽写真展が開催中ということで、

さっそく会場の2階プラザへ。搭乗客以外も出入りできるスペースです


 


11月3日の庄内神楽祭りのポスターやプログラムなどのチラシも。

ここで、櫟木(いちぎ)神楽座さんによる神楽の披露もあったみたい。観たかった〜


 


御嶽流夜神楽開始の16:00まで、まだだいぶ時間があるので、車で約3時間ほど、

10月の神楽フェスティバルの会場としてもおなじみ、熊本の阿蘇市波野の道の駅「神楽苑」へ!





神楽だけでなく、そばも有名な波野。道の駅のそば処「岩戸開」では、そばメニューが豊富!





ちょうどお昼時、まずはお昼ごはん…と、中に入ると、おおお〜!!

神楽にまつわる展示がいっぱいで、さっそくテンション急上昇!


 


落ち着ける雰囲気の店内に、和やかな店員さん…旅の疲れも癒える、ほっとするお店です

お茶(そば茶だったような…うろ覚え)の湯飲みにも神楽の絵が♪


 


お蕎麦も、蕎麦豆腐も、天ぷらも…お腹空いてたことを差し引いても、どれもこれもおいしい!!

さらに、これでもかの蕎麦ふりかけ、お土産売り場の蕎麦まんじゅう(どんだけ蕎麦愛してるの

波野…!)、なみの高原のキャベツドレッシングもおいしい!(お土産に買って帰っちゃった)





神楽フェスティバルの歴代ポスターもいっぱい。どれもレイアウトが凝っててかっこいい!





お腹もふくれたところで、メインの「神楽館」へ! 地元の神楽関連の展示など見れるみたい


 


こじんまりとしながら、綺麗でセンスのいい館内。スクリーンで映像の観れる客席があり…





まずは10分間の映像による神楽の紹介から。解説は、熊本県立劇場館長鈴木健二さん


 


波野の中江岩戸神楽、神社の秋祭りでの奉納の様子…雰囲気があってかっこいい!


 


神楽を見つめる地元の方々が、本当に楽しそうです


 


神楽保存会のみなさんの練習風景です。奥さんたちも、衣装作りなどで陰から支えます。


 


神楽は、ここでは人と人との結びつきを深めるものでもあるのですね。

そして、中江岩戸神楽の転機となった、県立劇場での全33座完全復元公演


 


NHK衛星生中継もされ、大成功をおさめたそうです。阿蘇の高原を背景に舞う荒神…神々しい!!





充実の内容の感動の映像で中江岩戸神楽について学んだら、お次は展示物

館内2階、見上げた天井に、対峙するスサノオと大蛇が迫力!!





手力男の絵がかっこいい! そして、33座パネル解説が。

この解説がすごくいい! 独自の洞察や解釈がなされてて、すごく興味深いです!


例えば、第6座「綱の母」とは、「津奈の波々」であり、岸辺で男波と女波が戯れる様子…としたり (言われてみれば、納得…! 機織りや布洗いという説明よりも、その方がしっくりくるかも?)、 第33座「大神」の大神とは、天照大神ではなく藤原氏の氏神・春日大明神であり、 神楽の構成には藤原不比等の様々な思惑が秘められている…などなど…!

なんといっても、一番共感したのが、「古事記は日本の演劇の台本と言われていますが、 それをそのままに受けとめず、自分の町や村に合うように、楽しい神楽にしようとした、 昔の村人たちの知慧が、舞台に展開していきます」という記述! 私も、その発想の自由さ、 そこから広がる神楽の物語世界の不思議さ、多様性が、(矛盾や謎の多さも含めて)神楽の おもしろさの醍醐味の一つだと思うから…!






こんなん?


「綱の母」もそうですし、他にも、例えば、第14座「武者」。古事記では、天孫降臨の後、 天忍日命と天津久米尊の2人が、弓を持ってあらぶる神々を鎮め、平和を祈ったとあり、 「武者」とは彼らのことを指すのだそうですが、神楽では、登場するのは古事記の記述の2人ではなく、 経津主尊・武甕槌神・天児屋根尊・天若日子だそうで…。

「神楽を作った村人達は、ストーリーだけ使って、細かい部分は自分達の勝手な解釈で やったほうが楽しいと感じたからです」 なるほど…! 経津主尊・武甕槌神・天児屋根尊・天若日子の 4人は、神楽の中でも人気の高い神々ですもんね。私も大好き! うん、その4神なんだと思うと、観てて 余計に楽しくなってくるかも!(笑)

「『返矢』で死んでしまったはずの天若日子が再び登場しているのは、一度敵についた者でも、 自分の所に返って来れば、再び自分の仲間だという日本人の考え方が反映されているのです」という 解説も興味深い…! なるほど…そういえば日本の少年漫画などでは、魅力的な強い敵が、戦いの末に味方になったり…とか、 惜しまれつつ死んだ魅力的な登場人物が生き返ったり…というようなエピソードも好まれてよく登場します よね。お約束ストーリーだけど、昔から日本人はそういう話が好きなのかも(笑)






等身大の天照大神と手力男がかっこいい!! 神々しい!

後ろに、石見神楽の面も。島根県の石見神楽との交流も深いようです





衣装体験コーナーが!! こ、これはぜひ体験してみたい!! と、思ったら…

残念、保存状態があまりよくないようで、うまく着れそうになく、断念…


 


嬉しい衣装解説が。読み方とか、未だにわからないもの多かったんですよ…





1階は、全国の神楽と熊本の神楽についての系統的なパネル解説のフロア

のぞき窓の向こうで、ライトアップされ回転する奇稲田姫に不意をつかれたのは内緒(笑)





石見神楽の面がずらり。10月の神楽フェスティバルには毎年石見神楽の社中さんが

参加されていますし、展示ポスターなど、端々から親交の深さがうかがえます。


 


たくさんのパネルに写真や解説が豊富で、とても勉強になりました。道の駅波野

「神楽苑」、すみからすみまで神楽づくしで、神楽愛あふれてて、素敵スポットです!



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