■ 臼杵 福良天満宮夏祭り レポ ■






不眠症とは無縁の私ですが、昨夜は興奮と緊張でなかなか寝付けず…しかも朝は5時に目が覚める始末。や、やばい…今日も深夜まで神楽鑑賞。悔いが残らぬ鑑賞になるよう、体調的にも万全の体制で挑まなきゃっていう、こんな時に…! しかしもう目がさえちゃってさえちゃって…。仕方がないので、のそのそと起き出し、昨日の夜店の焼きそばで朝食をすませて身支度して、出発です!

今日も天気は雨。福良天満宮までの道のりをてくてく歩きながらも、よぎる一抹の不安…。まさかまた、観客激少なんてことは…ないよね…?(ドキドキ) 観客のいない柴引の気まずさ、いたたまれなさったら、たまらないものが…。どうか、今日はそんなことありませんように…!

祈るような思いで福良天満宮の階段を上がって、神楽殿前に到着すると……か、観客、いない――!!

ゼロです!! 全くのゼロ!! サクラの女性達さえもいらっしゃらず…。昨日ですら、ゼロってことはなかったのに…!! ひえぇぇ―――…!!(足ガクガク) すっかりおじけづき…いくらなんでも、たった一人で神楽殿に向かって客席に座る度胸なんて、私には……!! …い、いやいや、ここまで来て何言ってんの! がんばれ!! がんばって観るのよ!! …こわばる足で、おそるおそる着席…。ひ〜〜誰か来て〜〜!!


今日の神楽は朝9:00から。…の、はずですが、なかなか始まりません。すると……





わ〜〜獅子舞です!

獅子だけでなく、獅子使い? 面をつけ、相撲の行司さんが持ってるみたいなのを

持った人が獅子を先導していて、かっこいい! これから町中を巡るみたいです。





神楽がはじまりました! まずは舞い始めの舞?

優雅な舞に、うっとり酔いしれます。





続いては…"武者"かな? 昨日の"剣"に対して、こちらは弓矢の舞です。







一人鑑賞の緊張から、あまり写真も撮れませんでしたが…かっこいいです!

それにしてもみなさん、昨日も夜遅くまで舞ってらして、今日もこんなに朝早くから…

眠そうな顔とか疲れた表情も見せず、さすがですね…!


誰もいなかった観客席でしたが、神社の掃除などの作業をされていたおじさん(おじいさん?)達2、3人が腰を下ろし、神楽を観つつ一休みしていらっしゃるご様子です。それ以外の観客は、一向に現れません…。と、掃除のおじさん(おじいさん?)のお一人が、「どっから来たの?」と、声をかけてきてくれました。わ〜〜! 一人で心細かったとこだったから、嬉しくて、思わず堰を切ったようにしゃべり出す私。

「臼杵には初めて来たんですが、すごくいいところですね、街並みもすごく雰囲気があって…!」 「へーそうかい」 にこにこしながら私の話を聞いてくれる、気さくなおじさん。「(おじさんは)今日は、お掃除とか、作業に来られてるんですか?」と、尋ねると、「そーよ、祭りの時には来るんよ」とおじさん。私「毎年ですか?」 おじさん「そう」 私「そうだったんですか…ありがとうございます、おかげさまでお祭り、こうして楽しませていただいてます」

表舞台には立たないけど、陰でこうして祭りを支えるみなさん…。おじさんのような地域のみなさんが守っていて下さるおかげで、こんな素敵なお祭りが、こうして続いてきたんですよね。そのことを、改めてしみじみと実感です。私はよそからやって来て、ただただ祭りの日だけ楽しませてもらいに来てるだけで、申し訳ないくらいで…。日常から地域の文化を支えるみなさんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。その感謝の気持ちをこうして少しでも言葉にして伝えることができて、よかった…!

と、いろいろしゃべっていると、おじさんが思いがけない嬉しい言葉を…! 「あんた、今日どこ泊まるの? うち、泊まってきなよ。"田舎に泊まろう"ってなもんでさ、ははっ、うち、ばあさんと二人だけだし」 私「ええ――!(嬉しびっくり) わ――、嬉しいです…けど、今日はホテルとってあるんです…すみません、お気持ちだけで、本当に嬉しいです!」 わ〜〜、本当嬉しい! そんなこと、初対面で言ってもらえないよなかなか! ホテルをキャンセルしてでも、泊めてもらえばよかったかな…。でも、今日の神楽を最後まで観たら、おうちにお邪魔するの深夜(12時近く)になってしまって、ご迷惑ですしね。

他にも他にも、今日お昼ごはんを食べるところを心配してくれたり、いろいろ気にかけてくださって…うう、なんていい方なの…! 本当に、臼杵のみなさんって、あったかいよ…!(感涙) おじさんは夕方4時まで、福良天満宮にいらっしゃるとのこと。また一人、臼杵の方と仲良くなれて嬉しいな…!






さて、神楽はしばらく間を置いて、その間、本殿で神事が執り行われます。

宮司さん達につきそって、重岡岩戸神楽のみなさんも本殿へ。

お囃子の楽器を手にしていたり、衣装を身に付け、荒神の面を手にしていたり。





しばらく、神事が執り行われていたかと思ったら…お囃子の音色が!

本殿内で荒神が舞っています。今までのゆかいな神楽とは違い、厳かな雰囲気です。





楽しい祭りの一面と、厳かな祭りの一面。どちらもあってのお祭りですね。





さてさて、神事も無事に終わり、神楽が再開です。





しなやかな舞に、何度観ても見惚れてしまいます





そして柴引!





嬉しいことに雨足が遠のいてきて、やっと観客も増えてきました。


荒神様が、ちっちゃい子を抱えて舞台に上げて、別れ際に頭をなでなでしたら、ちっちゃい子が逆に荒神様の頭になでなでし返したのがかわいかった…! 柴引は本当にいろんな人のいろんな反応を引き出してくれるのが楽しいですね。筋書きのないおもしろさ!

ふと、客席を見渡すと…あれ? 昨日のおばあちゃん? 声をかけたら… 「あの、昨日お会いしましたよね?」 「え? いいえ、昨日は来てませんけど…」 キャー! 人違い! す、すみません…!! あわてて謝ったけど…今時ナンパにも使わないようなセリフですよ…うう恥ずかしい。






時刻は11:30、ここで午前の神楽は終了。


次は夕方から…と、ちょっと間があきます。舞台横に祭りの進行表が

あったので確認してみると…えーと、次の神楽は夕方5:30からね。

……ん!!?? 午前7:00からも神楽あったの!? うそ――!? 見逃したー!!


"お目覚め神楽"…幣神楽とありますが、どんな神楽だったんだろう…。7:00はちょっと早いけど、今日は全然余裕で目が覚めてたから、行こうと思えば行けたのになぁ。早起きしたのも、何か神様のお導きか、虫の知らせだったのでしょうか…。しかし楽員さんは本当に大変ですね…。昨日10時すぎまで神楽を舞って、後片付けとかもして、今日朝7時からまた舞台に立ってたんですか!? すごい…!


と、しばらく進行表に見入っていて、ふと顔を上げた瞬間…

ちょうど神楽殿の奥から出てきた、一人の袴姿のおじさん(重岡岩戸神楽の楽員さん)、

そのおじさんと、はたと目が合った…!?


えっ… わ――うそ――!!? 突然のことにびっくり、どっきり、うわぁ、どうしよう!!(一人てんやわんや) こういう時、どうしたらいい!? えーと、えーと、ま、まず、あいさつだよね、あいさつは基本だよね(…と、考えること約1秒)、なんとか「こ、こ、こんにちは…」と、あいさつを喉からしぼり出すと…「お近くですか?」とおじさん。「あ、いえ、その……お、大阪から…」と私。ひゃー、また物好きだと思われるか、ヒマ人だと思われるか…と思って、「あ、でも、もともとは大分出身なんです」と、また聞かれてもない余計な言い訳。

「昨日もいらしてたから…」とおじさん。ギ、ギク――! お、覚えられてる…!(そりゃ覚えるよね…) わ〜〜、お話したいことはいっぱいあるのに、緊張で、もうしどろもどろ、口がいうこときかないよ…! まさかこんな唐突に、楽員さんと直接お話する機会が巡ってくるなんて、思いもしなかったですから…

「あ、あの、ゆ、ゆひゅし…(噛んだ!)…ぜんこくかぐらたいかいに…出られてましたよね…?」 がんばって勇気をふりしぼって、それだけ言葉をひねり出したものの…うわ――!! いきなり噛んだ――!! おじさん「はい?」 私、気を取り直して「あのっ、由布市全国神楽大会で拝見しまして…すごく、よかったので…」 おじさん「ああー…」 私「あのっ、神楽、すばらしかったです! 本当に…」 よしっ! い、言えた――!! おじさん「…この後も、どうぞお楽しみ下さい」 私「あ、ありがとうございますっ!」

おじさんが去って…へなへなと力が抜ける私。き、緊張した〜〜〜! 言いたいことの数%も言えなかった…! 思い返してみると、おじさんは、もしかして昨日の晩、綱伐を舞っていた方かな…? もの静かで、多くを語らないけれど、誠意ある感じの方でした。うう…せっかくのチャンスだったのに、しどろもどろになっちゃって情けない…私の気持ちはうまく伝えることができたのやらどうやら…。





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