舞台で舞っているのは…柴引(しばひき)? 舞台前に柴がセッティングされています。 …余談ですが、うちの母が「柴引ってどんな神楽?」ってたずねるので上記のようなことを説明したら、「榊を集めてどうするの? 火をつけるの?」 …天照大神、燻り出される―――!!?? 違うよ!!(しかし庄内町出身なのに、柴引を知らない母って…) 観客(主に子ども)が柴を手に持ち、荒神と引き合いっこしたり、荒神が子どもを舞台にさらったり…と、観客参加型の楽しい神楽です。私も直接観るのは初めてで、楽しみにしていた演目のひとつです! …が!! いかんせん観客が少なすぎ…! 誰も柴を手に持ち荒神と引き合おうとする者はいません…(気まずさMAX) 荒神様、所在なさそう…? ど、どーするの、コレ…? こういう時、どうするの?? 舞台すその女性達の抱いてる子を奪いに行った――!! 子どもは怖がって泣いていますが、まわりの大人達は笑顔。 大丈夫、怖くないよー。子どもをおどかすけど、本当は優しい荒神様。 抱え上げて、ぐるぐる回って、頭をなでなで、バイバイ〜! 荒神様にさらってもらった子は、強い子に育つと言われています。 さて。しかしこのくらいで荒神様の気はおさまりません。 新たなターゲットを探してあたりを見渡します…。おばあちゃんが餌食に! 誰も柴持ってくれないから、荒神様自ら強引にあばあちゃんに柴を持たせ、引き合いを うながします。…本末転倒? い、いやいや、そんなことない…よ!(笑) おばあちゃん、嬉しそうです。楽しく引き合い♪ (プライバシーに配慮してぼかしてますが、かえって失礼だったらすみません) 他人事のように、笑いながら楽しくながめていたら…荒神様の視線がこちらに。 …えっ? えっ? まさか…私? いやいやいや…それはないよね…ちょ、待っ… わ―――!!! 荒神様、こっち向かって柴差し出した―――!!! わ――! 出発前から、「せっかくだし、チャンスがあったら挑戦してみるのもいいかも…」と、ちょっと期待しつつも…いや、でも、やっぱり恥ずかしいから無理無理! 柴引には手を出す勇気はないわー…と思っていたら…! 恥ずかしいけど…恥ずかしいけど、こうなったら引くしかないでしょ!!(やけくそ) やるなら本気で!! 適当に力を抜いてわざと負けるような興ざめな真似はしませんよ…!(←やる気満々じゃん!) と、力いっぱい柴をにぎってたら…ぐいっ!! わ―――!! 柴を引っ張られた勢いで、客席をまたぎ飛び越えて前へ飛び出る私。えっ…ちょっ、もしや、これは…! 事前情報で、柴引きでは子どもだけでなく大人も舞台上にさらわれたりもするというのを見たことが…。まさか… わ―――!! そのまさかだ!! そのままの流れで、荒神様に腕を引かれて、あれよあれよという間に、舞台上へさらわれる私。…と、次の瞬間…!!? えっ、あの、ちょっと… 眼鏡が荒神様の手にするりと奪われ…お囃子のおじさんの頭上に。 わ〜〜何するんですか〜〜返して返して〜〜(笑) 思わず笑っちゃいながら、ことのなりゆきを見ていると…えっ、何なに? 荒神様、私の手を引き、頭をおさえてむりやり四方におじぎをさせます。 もう、何がなんだか、なすすべもなく、されるがままです。 次の瞬間… えっ!? 体が宙に浮いた…!? わ〜〜〜!! 一瞬、何が起こったのかわからなかったよ…! 荒神様、私を軽々とお姫様抱っこに抱え上げ(すごい腕力…!)、 そのままぐるぐる回転…ぴょんとジャンプ! また逆にぐるぐる回転… ひええぇ〜〜! 「ありがとうございました」 お礼を言って、舞台を降りて席に戻り…は〜びっくりした〜恥ずかしかった〜。でも…やったー!(感激) 遥か臼杵の地で、まさか本当に柴引を体験できるなんて…自ら行く勇気のないチキンな私ですが、強引にひっぱり出してくれてありがとうございました、荒神様。もしもの時のために、レギンスはいててよかったなあ。さすがにスカートだったら、いろんな意味で危険すぎて(お見苦しいことに)、荒神様もさらってはくれなかったのではないかと(笑) そしてまた新たなターゲットを探す荒神様…荒神様は、まだ飽き足らないというのか…! と、舞台すそに座ってらした女性がさらわれ、ぐるぐるぐる…! と、思ったら、そのままばったり倒れ込み、「お、重い…!」と言わんばかりの荒神様。 「なによっ!」 って感じの女性。…もしかして、もしかしなくても、女性はサクラ?? やっぱり舞台すその女性陣は、重岡岩戸神楽さんの関係者さん? 奥さんとか、彼女さんとか、娘さんかな? 最近は男性だけでなく女性も舞う神楽団体さんもある中で、重岡岩戸神楽さんは、男性のみの伝統を続けている団体さんなのかな。それで、女性陣は舞台に立たずに、サクラなど、蔭でサポートする役割に? どおりで神社内に女の子が多いなあと思いました。…って、もしかして、もしかすると、客席側の小さい女の子達も楽員さん達の娘さんとか…? だとしたら、純粋な観客は、私とおばあちゃんの、たった二人だけってことに…!? 自分の家族(夫とか、彼氏とか、父親とか)が、こんな素晴らしい神楽の担い手だったら素敵だろうなぁ…それはもう誇りに思うし、いつでも間近で神楽を観ることができていいなあ…。って、そんなのん気なこと言ってたら怒られてしまいそうですが…すみません、もちろん、現実問題、きっとそんないいことばかりではないでしょうけれど…日頃から、神楽を続けられるご家族ヘの協力、サポートは大変でしょうし、いろいろ苦労がおありだと思います。今回も、自分達は主役でなく蔭で支えるためだけに3日間もずっと付き添っている…というのは、かなり大変なことですよね。 神楽を楽しませていただいている1人として、舞台上の楽員さん達をいつも蔭で支える女性陣にも、感謝の気持ちを送りたいです…! これからも、素晴らしい神楽の担い手のみなさんを誇りに、一番近くで支えていてくださいね。 あ、誤解のないように書かせていただきますと、男性のみの神楽、男女混合の神楽、私はどっちがいいとか悪いとか言うつもりはなく、どちらも素晴らしいと思います。私も女だけど、できるなら神楽舞ってみたいですし、女性の神楽舞は動画で観たことがありますが、男性の舞に見劣りすることなく素敵でした(というか、男性が舞ってるのかと思って観てたら、女性だと知ってびっくりしたくらいで) 一方、男性のみの神楽の良さも言うまでもないですよね。例えば宝塚歌劇団の舞台に男性が上がったら全然別物になってしまうのと同じで…ひとつの文化ですよね。神楽にもいろんな形があっていいと思います。 ( 追記 ) すみません、後から判明したのですが、上記の女性達は、重岡岩戸神楽保存会のみなさんのご家族とか関係者かと思っていたら…そうではなくて、馴染みのファンの方達なんだそうです。ついついすぐ憶測でものを書くもんだから…すみませんm(_ _;)m さてさて…続いても柴引です。 雨はおさまる気配もなく、観客は一向に増える気配もありません。 そんな中で、また柴引…うう、神楽は観たいけど、ちょっと気まずい…(小心者) 「雨、やみませんねー」 思いきって、話しかけてみました…! すると、人なつっこくしゃべってくれるおばあちゃん。よ、よかった…! おばあちゃん、神楽大好きなんだって。昔はそんなに神楽がいいもんだと思わなかったけど、ここの(重岡岩戸神楽)の神楽を観て、上手に舞うから、それで大好きになったんよ――と。 「あんた、さっき柴引の神様におちょくられたやろ、あれで福がついたから、もう、あんた、この先、大丈夫よ! 私も18の時おちょくられて、それから今まで大した病気も災難もないんよ」すごく楽しそうに嬉しそうに、本当によかったねって感じでおばあちゃんが言ってくれると、本当にそんな気がしてきて…! おばあちゃんと仲良くなれたし、さっそくいいことあったよおばあちゃん! 次のページへ |