■ 2009 ミステリアスライブ in 庄内 レポ ■






続いては…やった! 神楽吉会による「日割」です!


こないだの全国高等学校総合文化祭では、15分の超短縮バージョンでしか観られなくて、

今ひとつ、この演目の魅力を充分に理解するには不充分で…ちゃんと観たかったんです。

物語をざっくり説明しますと…木の神、火の神、金の神、水の神、土の神の五柱の神が、

春夏秋冬、東西南北を分け与えられるまでの、壮大な兄弟ゲンカです(←ざっくりすぎ!)





スモークの中から現れたのは…土の神、埴安の神!


あれっ…意外なことに、おなじみの木製の(たぶん)面ではなく、

これまた石見神楽っぽい面です(その理由は、後ほど明らかに)


 


「兄四人を打ち沈め…天津神に歯向かい…我が本望、遂げ申さん…!」


埴安の神…めっちゃいい声! ドスのきいた迫力のある…それでいて男前声!

プロの方? ってくらいで…びっくり! 特撮ヒーローものの悪役のような…?


舞い手さんとは別の方が声をあててるのかな? ご本人だったら、すごいです。

神楽って、舞が何より第一で、口上は二の次というか…正直、舞は超一流でも、

口上になると、あまり声が出ていなかったり、棒読みな場合が大半な印象で…

それは仕方ないか…と、あきらめていた部分でもあったので…素晴らしいです!





埴安の神が退場し、天児屋根神と、木・火・金・水の四柱の神が登場。


「春来れば、水も心にまかせけり、やをやらじとは、おやまだの関」

「夏山の、桐の木末は高けれど、空にて蝉の、鳴く音しらべん」

「秋はぎの、もとの小草をしらぶれば、色良き花の、ちこそ恋しけり」

「冬が来て、二見ヶ浦の朝氷、とけぬ間にこそ、かがみとどめん」


四柱の神々、それぞれに春夏秋冬の歌を詠み上げながら登場。

金の神(白い衣)、水の神(黒い衣)の口上が、よく響くいい声で…かっこいい!


 


天児屋根神は、四神に、春夏秋冬を分け与えます。

四神、喜びの舞? 華麗に優雅に、勇壮に激しく…かっこいい!





くるくると美しく回る華麗な舞…!


 


美しく、凛々しく…





と、そこに、どこからともなく響き渡る、埴安の神の声!!

「弟五郎の神には…何を与えたまわんや…!」

兄達には四季と四方を与えられ、自分には何も与えられない怒りと恨みに満ちた声…

天児屋根神、四柱の神々に、走る緊張!! 迎え撃つべく身構えます!





客席の闇の中から、現れた埴安の神!!


 


始まる激しいバトル!!


 


くそ…何故だ…! 何故俺ばかりが認められぬ…!? 

暴れん坊で、みんなから厄介者扱いされるのに、その理由がわからず葛藤し、

また余計に暴れる…? そんな埴安の神?





まだまだ暴れます!


 


だだっ子のように暴れて我を押し通そうとする埴安の神、冷静に制圧しようとする兄神達。


それを観て、真似っこして棒を手に踊ってみる、舞台下のちっちゃい子達がかわいい(笑)

ここでは、神楽は子供達のヒーローなんだね。そういえば、五神の衣装も色とりどりで、

戦隊ヒーローものっぽいかも(笑) 神楽の次代を担う、ちびっこ達の行く末が楽しみです。


 


一歩も引かず、激しく立ち合う両者…!





金の神・金山彦の、目にもとまらぬ激しい舞がかっこいい!


このキレ…五神の中でも群を抜いてます! 刀を構えるにも、くるっと回るにも、いちいち他の神々よりも振りが複雑で、一回り二回りも複雑な動きを見せて…これって個人的にアレンジして舞ってるのかな? 神楽の振り付けって、アドリブ的部分…演者個人個人の味付け的部分の幅が大きいのかな?

聞くところによると、金山彦を演じているこの方、由布高野球部員なんだそうで…(情報提供:なんちゃって大分県人さん) 野球部と神楽かけもちで、このクオリティを!? すごい…! いや、むしろ野球で体を鍛えているからこそ、神楽のしなやかな動き、素早く複雑で激しい動きにも対応し、よりいっそう磨きがかかっているのかもしれませんね。



 


敵味方、円になって身構え、くるくると舞いながら、一対一で武器を打ち合う…


石見神楽の殺陣の要素を取り入れている感じです。祇園祭で観た大江山が彷彿と…。

日割に登場する武器は棒と刀と弓矢のみですが、大江山のように、長物(槍・長刀とか)、

斧などを取り入れてみても、より複雑でかっこいいかも…(←超個人的好みですが…)





果てなく続くかのように見えた戦いも、いよいよクライマックスへ…





兄…弟…どちらかが倒れるまで戦うしかない運命なの…!?



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